もう背伸びはしないよ。

チョコミントローズのキャップ初めてチョコに包まれたミントのお菓子を食べたのは、まだ子供だった私へのお土産に父が海外出張から持ち帰ったモノだった。


その頃、まだミントといえばガムか歯磨きペーストの味位しか知らなかった私に、初めて口にしたその味は、裏切りにも似たあり得ない味だった。


せっかくの大好きなチョコレートの甘さが台無しだわと心の中で呟きながら、ツンと喉から鼻に抜けるミントの刺激を少しでも感じないように、息を止めながら飲み込んだ。


顔は嬉しそうにニッコリしたつもりだったけれど、父からそう見えたかどうか自信はない。


 


少し大人になってチョコミントと再会したのは、日本駐在のアメリカ人夫妻の住む高級マンションに招待されたときだった。


 


食事が終わってどうぞと差し出されたのが、薄い板状のビターチョコの中にミントが挟まった「アフターエイト」。その名の通り大人の味だ。

一緒に出されたリキュールと口の中で溶け合って、何とも言えず美味しいではないか!その上、チョコミントの美味しさを分かるようになった大人の自分がちょっと嬉しくて、飛び交う英語のジョークと笑い声に混ざって、私も笑い声を立てたっけ。ジョークのオチもさっぱり解からないままに・・・。

そんな私の笑いが、みんなと微妙にずれていたのに気付いた人が何人いたか、今となっては解からない。

今回作ったキャップの生地を見つけたとき、何故かチョコミントの味が私の口の中で広がった。ちょっぴり背伸びして、作り笑いでその場をしのいだ「ほろ涼しい」想い出が、今となっては全部懐かしい。
そんな思いを込めて、今の等身大の自分に似合う帽子を作りたい。

残念ながら、どんなに頑張っても女らしいフェミニンな雰囲気にはなれず、さばさばしたボーイッシュな人だと言われてしまう自分を認めて、今度はキャップを創ってみようか。

そんな想いで出来上がったチョコミント色のキャップ、只今、一番のお気に入り!
(*^o^*)v