二つの顔を持つ帽子

ゴッホの耳あてスキンヘッドの方や坊主頭の方のためにと、改良に改良を重ねた、取り外し可能イヤマフ付きハンチング。新年早々大活躍した帽子が、これだ!


今や「スキンヘッド イコール パンク」という訳では決してないけれど、反骨精神の塊であるパンク魂を持ったスキンヘッドの彼らが、寒がってブルブル震えている弱ヨワしい姿は見たことない気がする。寒いときにこそ、地肌にいきなり鋲付きレザージャケットか、はたまた上半身裸で白い息を吐きながら、頭に青筋立てて強がっている姿を思い浮かべるのは、私だけだろうか?


同じく頭をそりあげた柔和な顔の修行僧は、托鉢に出かける時こそ笠を被って出かけるものの、普段修行中の姿は裸足にわらじを履いて、頭からは神々しいばかりの光を放っている。


だけれども・・・である。


パンクなスキンヘッドの方は、冬になれば実はニットを深めにかぶって寒そうに首を縮めているし、修行中の坊主頭の方だってプライベートではロン毛のカツラを被って暖をとっていることだってある。(これ、実際に見たことある話!)


とにかく誰だって冬は寒いのだ。長かった髪をばっさり切った後、首筋がひどく寒いように、髪を伸ばさない彼らは、本当に無防備に冷たい空気にさらされて、体中の熱が常に奪われて、例えどんなに強靭な精神力を持ってしても、ひたすら寒いのだ。まるで、暖かい飲み物が入った魔法瓶の蓋をし忘れたかのように!


そこで、私は考えた。


凍えてしまいそうに寒い日には、耳から首筋まで暖かく包むイヤマフが付き、しかも必要のない時はそれを取り外せばシンプルなハンチングになる帽子を創ろう!と。そして改良に改良を重ね、実は今も進行中であるのがこの帽子。


この帽子の被験者になってくれた人が、パンクな方なのか、はたまた修行中の方なのかは帽子にとってはどちらでもいいことだ。とにかく、この帽子が威力を発揮したのは、豪雪に覆われた長野でのこと。被験者がこの帽子を被って雪かきの作業を終え、帽子を脱いだ瞬間に頭から上った湯気のなんと美しかったことよ!そして彼は頭の汗を拭うと、イヤマフをはずしたハンチングを被って、さっそうと夜の町に出かけて行ったのであった。


めでたし、めでたし。


 


おまけ渋温泉の猿・・・!渋温泉にて