愛される形


丸いものは愛すべき存在になりやすいらしい。


 


手塚治が描く漫画のキャラクターの基本形は全て○だという。鉄腕アトムだって、不思議のメルモちゃんだって、リボンの騎士だってみんなそう。


一人では何も出来ない赤ちゃんが、みんなに可愛がられちゃんと面倒見てもらえるために、丸く愛らしいバランスで生まれてくるという説もあるらしい。


そんな訳で、帽子の中でもベレー帽が一番愛すべき存在であるのは、そのシンプルな丸い形の所以だろうか。


 


先日、世田谷文学館で開かれていた「花森安治と暮しの手帖展」を見に行った。


『暮しの手帖』で発揮される編集長花森氏の信念と情熱、そして才能には改めて舌を巻いた。


そんな彼が愛した帽子もベレー帽だったらしい。本の中でも何度もベレー帽に関する記事を取り上げていた。


特に1966年12月号の記事が面白い。簡単にまとめるとこんな感じ。


 


「ベレー帽のすすめ」


1 若く見えること。やる気十分の雰囲気が生まれる。


2 かぶるのに気持ちを労することはなはだ少ないこと。


3 見てあたたかく、かぶってさらにあたたかいこと。


4 たためばポケットに入り、広げると小物入れになり、


  野外に出ては座布団の代わりにもなること。


5 かぶる人を選ばぬこと。


 


座布団にまでされては敵わないが、確かにベレー帽をかぶった人は若々しくみえる。特におじ様が被ると、おしゃれで若々しく知的かつユーモア溢れる親しみやすい雰囲気に見えてくる。そういえば、手塚治もベレー帽派だ。


花森氏も、手塚氏同様、愛される○の魅力と魔力を知っていたに違いない。


 


追記:今シーズンはまだベレー帽を創っていないのでトップの写真はハンチング。万人に愛されるベレーより、ちょっぴり個性派ですね。でも、一度被ったら虜になりますよ(^^)v