おみくじの効用、それは高揚!

ことば遊び作家のハンチング新年早々、私は大きな仕事をひとつ済ませた気分になっている。それは何故かというと、ずっと帽子をお創りしたかった方のハンチングが完成して、その方に被っていただいた姿とその笑顔を拝見することが出来たからだ!


その方は「ことばあそび作家」さん。私の知る所では、大学の講師をされたり、心にストレートに響く詩を詠まれたかと思うと、論文の書き方や鎌倉案内の本を執筆されたりと、ことばを使って縦横無尽に活躍されている。中でも私の心を鷲づかみにしたのは、その方の創られた「おみくじ」だ。


誰もが引いたことがあるであろう「おみくじ」。占いや迷信には興味はなくても、神社仏閣にいくと、ついつい「おみくじ」は引いてしまうものだ。そして、そこに現れた「吉」だの「凶」だのという文字に一喜一憂しながらも、ちょっとした心の支えや戒めとして、自分の心の中にそっとしまうのが「おみぐじ」なんじゃないかと思う。


何年か前、私もその方の「おみくじ」を引かせてもらうことがあった。「おみくじ」と言っても、その方の作るのは「おみ九字」である。そして、そこに書かれていたの は、「吉」でも「凶」でもなく、『え』であった。


  「えのきあるいえ さかえるいえは さないうえおえ えがおみえ」


  「榎ある家 栄える家は 早苗植え終え 笑顔見え」 


そして、その後に続く(例解)として書かれていた文章に、私は全身釘付けになっってしまった!


  「自分の志望を周囲の人々に積極的に語る中で、志望を実現する好機が訪れます。」 


その頃私は、帽子を創る人・帽子に関わる人になりたいと思っていはいたものの、その思いを周囲に話すことに非常に抵抗を感じていた。何故って、「また、いつもの気まぐれだ」「また、すぐにあきちゃうでしょ」と言われるのがオチだったし、正直自分でも全くもって自信がなかった。何に?って・・・、自分の気持ちが変わらないでいつづけることに・・・。


やりたいことはいっぱいあるけれど、具体的に何がやりたいのか自分でもわからない、分かったような気にはなっても、その手段が見つからない、もしくは今の世の中にある職業の中には当てはまらない(なんて生意気な!)・・・みたいに、ずっとモヤモヤした世界に住んでいた私は、職業も住む所もパートナーも興味の対象も心の拠り所も、ずっとボヘミアンだった。


そんな中で、私にとって身の丈に合った楽しく創造的な作業だと感じ、かつ自分のしていることを説明した時に、誰にでも理解してもらえる現実的で具体的な作業が、「帽子を創る」ことだったのだ。そして、自分でも帽子を被ることの大好きな私は、帽子を被ることや創ることで自分以外の誰かとコミュニケーションが生まれたり繋がったり、そんな種を「帽子」が持っていることを体験として知っていた。現に、「ことばあそび作家」さんが私に声を掛けてくださったのも、私の被っていた帽子に気を留めて下さったのがきっかけなのだから。


だからこそ、「帽子」が私にとって楽しく生きていくためのひとつの核になるかも知れない事、そして、今までの放浪経験を活かす事が出来るかもしれない事を、密かに感じていたのだろう。


私の中でその思いが、パズルが解けた時のようにはっきりと形を成したのは、あの「おみ九字」を引いた瞬間だ。


そして私の明るく楽しい「帽子屋修行」が始まったのである!!


さぁて、今年はいくつ帽子を創れるだろうか?そして、帽子を通して何人の方と出会えるだろうか?今も私の机の前にはあの「おみ九字」が貼ってある。そして、時々目にしては、あの時の感覚を思い出す。


今度こそ続きそうな気がするよ。こうやって帽子への想いを語り続けている限りね。


ありがとう、「ことばあそび作家」さん!


 


 


 

投稿者プロフィール

かとうひろみ
かとうひろみ
北鎌倉とスナフキンが大好きな帽子屋です。

おみくじの効用、それは高揚!”へ1件のコメント

  1. ひときち より:

    所沢のひときちです。今日もへろへろです。ストレスで下痢してます。でも、明日になれば全て忘れて、けろっとしてしまうB型の達人です。いま、機嫌がいいので、鼻歌歌って、髪を乾かしています。
    もう、お休みです。

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