父と娘の帽子な関係



私はそうとうなファザコンである。いやファザコンであった。


大好きだった父が亡くなって、何故か父とは全く違ったタイプの人と付き合うようになって、私はやっと父を卒業した気になっている。彼と父の共通点は、大工仕事が好きな事と、何にでも自分の名前を貼り付けることと、帽子好きな事。


なんだ、結構共通点あるじゃない。


 


帽子を創るようになって、もし父が生きていたら手作り帽子をプレゼントしたかったなぁと思うことがある。帽子のプレゼントは、「あなたといつも一緒にいたい」「あなたの目線で一緒に世の中を眺めたい」という気持ちの表れだと思うから。そんな気持ちを父はきっと汲んでくれて、喜んでくれただろうなぁ・・・。


 


父と娘の関係はいくつになっても微妙である。


相思相愛の恋愛関係に近い時を経て、お互い目も合わさないような冷戦状態に突入し、やっと氷が溶け始めたかと思うと、それは娘が父以外の男の人を大切に思うようになった証拠だったりして父親はがっくりきたりする。でも、そんな父の気持ちを知る余裕の出来た娘は、父の存在のありがたさを改めてひしひしと感じるものなのだ。


 


バックサイドにチェックのラインが入ったハンチングは、嫁いだ娘さんからお父様への誕生日プレゼント。私も立ち合わせていただいた帽子贈呈の場の温かな雰囲気や、お父様の笑顔や娘さんのお父様に向けられた柔らかな眼差しを思い出すと、今でも自然に笑みがこぼれてしまう程幸せな気持ちにさせてくれる。


 


 


青い海と波のイメージでチェックを大胆に使ったハンチングは、まだ小さな娘さんと一緒に手を繋いで海に通うという若きパパさんの自分へのプレゼント。今まで帽子に縁がなかったという彼は、被った帽子へのみんなの視線がこそばゆいと表情を緩めていたけれど、愛娘の視線にちょっとうろたえたりしていないだろうか?「パパかっこいい!」っていうハートマークの連なった視線にね(^o -)・・・☆