春の足音

DC0031



温かくなったかと思ったら、また急に寒くなる。

でも確実に季節は春。

樹や草は花を付け艶やかに舞い始め、鳥や虫そして

動物たちは艶色の声や羽音を響かせる。

 

DC0033


隙間風ピューピューの私のアトリエ部屋で、私はいつ

もエスキモーのように着膨れしてミシンを踏んでいる。

部屋の中だというのにマフラーはもちろんのこと腰に

はエプロン代わりにモコモコした布をぐるぐる巻きつけ

靴下は2枚重ねの上に更に毛糸のソックスカバーを

履いている。まぁ、寒がりな私だからこその格好、とい

うこともあるけれど、実際この部屋は寒いのだ。

それでもこの所、いつの間にかマフラーを外して作業

していることが増え、毛糸のソックスカバーを履き忘れ

る日が増えてきていた。

 

DC0032


そんな三寒四温の日々の中、「あぁ!今年も春が来た

んだ~。」と確実に感じたのは、ミシンを踏んでいた時

のこと。いままで、少し軋んだような回転音を立ててい

たミシンが、滑らかな音に変わったことに気づいた日。

季節の変化は機械油の滑らかさにも影響を与えてい

るに違いない。

 

DC0034

春の足音のようなミシンの回転音に、生まれてくる帽

子たちにも蝶や花が舞い始める。


・・・やっぱり春だ!