紫外線対策には帽子をお忘れなく!
ロング・エンゲージメントという映画を観た。戦争で行方知れずになった婚約者を、まさに女の執念で探し出すという、一筋縄ではいかないお話である。
映画の感想はさて置き、私の一番の注目は、主人公であるオドレイ・トトゥが被る「帽子」であった。
彼女は外出して人と会うとき、いつも帽子を被っていた。帽子を被った彼女は、凛としていながら、覚悟と不安と猜疑が入り混じったような表情をたたえていた。私にはその表情の硬さを帽子が救っているようにみえたのである。
どの帽子も私好みの形であったが、特に引き付けられたのは、ブリム全体がクルリと上向きになって、トップクラウンが広がった形のセーラーである。ブレード(細いリボン状の紐)をくるくると巻いて作った帽子だ。
ブレードの帽子、とくに細いブレードを使った帽子は、形を作るのに忍耐がいる。なぜなら、頭のてっぺんから紐で円を描きながらひたすらチクチクと縫うのである。ミシンを使えば多少早くは出来るらしいが、木型に当てて形を時々チェックしながらも、ひたすら縫うという忍耐の要る作業なのには変わりは無いだろう。
婚約者の生存の手がかりがどんどんなくなっていく中で、彼女が被った帽子が、作るのに忍耐の必要なブレードの帽子とは、やはりここが正念場か?などと全くもって独りよがりな解釈をしながら映画を観ていたのである。
そして予想通り、最後に婚約者と再会するシーンでは、外なのにも関わらず彼女は帽子を被っていなかったのである。そして、その表情は柔らかく、自分の感情を包み隠すことが全く無い穏やかな表情だったのだ。愛する人の前では、自分を演出したり心の内を隠したりする為の帽子は、もう必要ないという事かもしれない。
飽きっぽい私が、生成り色の麻のブレードを忍耐強くチクチク縫ったこのセーラー帽は、リゾート地でちょっとおしゃれしたい時に被りたくなるような、夏の陽射しが似合う帽子をイメージして作ったもの。
この夏、もう帽子なんて必要な~い!なんて出会いはあるのだろうか?いやいや、紫外線対策に帽子は不可欠ですぞ!お忘れな~く(^0^)v
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“紫外線対策には帽子をお忘れなく!”へ1件のコメント
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映画「ロング・エンゲージメント」
とても魅力のある物語だと思うのです。 戦争に奪われた恋人の生死を求めて、生きてい