もう少し風が冷たくなったらね。

ピラカンサと6枚はぎクロッシェ


この写真は何を写したものなのか、わかってもらえるのだろうか?


そう、もちろん「新作の帽子」!


しかし、カマキリやバッタが周囲の色に合わせて体の色を変えるように、ナナフシやコノハムシが枝や木の葉の形に生まれてきたように、今回生まれた帽子は、まるでピラカンサの枝の一部になってしまったみたいだ。


ブラウンベースに、グリーンの水玉が角度によってスパンコールのように光るベロアの生地で出来たぷっくりした新作クロッシェ。ピラカンサの小さな丸い実が、グリーンから黄色へ、そしてオレンジに変化しつつ、光と風を受けてざわめく中に、自分の居場所をみつけたかのように。


目を離したら、この小さなクロッシェの輪郭は見えなくなってしまうかもしれない。そして、誰の頭にのることもなく、忘れ去られてしまうかもしれない・・・。


・・・いいえ、このクロッシェは知っている。もう少ししたら、自分にぴったりのご主人様に見出されて、その方の頭を優しく包み込む出番が自分にも回ってくることを。そして、そこが自分の本当の居場所であることも。


なぜなら、ピラカンサの実はもうすぐ真っ赤に色づいて、クロッシェの輪郭をはっきりと際立たせてくれるから。


そう、もう少し風が冷たくなって、まだ見ぬご主人様が厚手の上着を羽織りたくなってきたならね。