悩ましきタータンチェック

好きな柄は何かと聞かれたら、間髪入れずに「タータンチェック！」と私は答える。

タータンチェックが目に入ると、ついフラフラと近づいて手にとってしまうのだ。そんなわけで、私のワードローブの中にはタータンチェックのアイテムがやたらとある。そして、その日の気分で洋服を選んでいると、時に、スカートがグリーン系、ジャケットがイエロー系、そして帽子は赤系のタータンチェックといった凄まじいチェックonチェックといった組み合わせになってしまうことがある。已む無くどれかひとつに絞るべく鏡の前で悩んで悩んで悩んでいる内に、待ち合わせ時間に遅刻してしまう・・・なんてこともままある程だ。

タータンチェックといえばスコットランド。私のチェック好きに拍車をかけたのも、やはりスコットランド。初めてエディンバラ駅に降り立った時の、タータンチェックのスカートをはいた「むくつけき男のヒト」がバグパイプを吹いている姿とその音色が蘇る。

バグパイプの音色に酔いしれながら、駅前広場の花壇の淵に腰掛けてぼうっとしていると、コウモリらしき小さな黒い飛行生物が何匹もパタパタと音を立てながら空を舞い始めた。背景は石で出来た頑強なエディンバラ城と要塞。何処からともなく鳥のざわめきと鳴き声。そしてまだ夕方でもないのに辺りがだんだん暗くなる・・・。

そう、あの日私はエディンバラで、２０世紀最後の日食を体験することが出来たのだ。タータンチェックのおじ様の奏でるバグパイプの音色と共に！

赤いタータンチェックの新作キャスケット。・・・あぁ、これで又ひとつ、洋服選びに悩みが増えたというもんだ。嬉しい思い出のリフレインと共に・・・ね（＾＾）