身体感覚優先の賜物
ほうじ茶に緑茶、玄米茶にウーロン茶にジャスミンティー、うちのキッチンに常備されているアルコール以外の飲み物だ。ええっと、紅茶にコーヒーに柚子ティーもあったけ。
朝仕事に取りかかる前、必ず何か飲み物を作る。お湯が沸く間、何を飲もうかお茶の葉の入った缶やビンを手に取ったり眺めたりするけれど、実は何を飲みたいのかは最初から決まっている。
最近はずっと玄米茶だ。玄米茶を飲むと、なんだかホッとする。寒さで縮こまった体と心をほぐしてくれるような味と香り。炒った粒粒の玄米がふやけて、お煎餅のようなオコゲのような香りと緑茶の香りが混じり合って、何だか懐かしい気持ちになる。「さあ、仕事シゴト!」とカツを入れるというよりも、「あんまり慌てなさんな、のんびりやりんしゃい。」って、おばあちゃんが声かけてくれるみたいな、そんな感じ。
それが最近、ジャスミンティーの日がぽつぽつと増えてきた。しかも、湯飲みに赤いクコの実を5~6粒入れておいて、最後に少し残ったジャスミンティーと一緒に、プンプクリンにふくらんだクコの実を飲み干すのがお気に入りだ。ジャスミンティーの香りがいいのはもちろんだけれど、すっきりとした飲み心地の最後に、口の中でつぶれるクコの実のほのかな甘みが、とっても得した気分にさせてくれる。
ふと、なんでかな~?って考えてみた。なんで最近ジャスミンティーなのかなって。
気づいたのは、ジャスミンティーの日は小春日和の日。いつもより朝から少し暖かい日だったりする。
自分では気分で飲み物を選んでいる気になっていたけれど、もしかしたら天候や気温にとっても関係あるのかもしれない。
ラジオか何かで聞いた話。とっても美味しいホットケーキを食べさせてくれるお店が、たしか神田だったと思うけれど、あるそうだ。そのお店のホットケーキは、暑い季節も寒い季節もその中間の季節も、つまりいつ行ってもたまらなく美味しいという。(是非行ってみたいと思いながらもお店の名前も定かでなくて、もし知っている方がいたら教えてください。)
とにかく、何故そこのホットケーキがそんなに美味しいかというと、シロップに秘密があるという。ホットケーキにかける、あのトロッとした琥珀色の液体のことだ。話によると、そこのマスターはその日の天候や気温でシロップの濃さを決めているとのこと。暑い日は口の中に甘ったるさが残らないようにサラッとした濃さ、肌寒い日は口の中で甘さがしっかり広がるように粘りのある濃さ。絶妙な調合。これぞ食べる人の身になって考えられた最高のサービス。
話は戻って私のお茶の話。このホットケーキのシロップのことを思い返すと何とも納得のいく話ではないか!
その日の天候や気温で人は欲しいものが変わってくる。だとしたら、何かを作る場合、作り手は天候や気温に敏感になって、自分だったら何が欲しいかリアルに感じ取る必要がある。もちろん、そのために心や体のセンサーはいつも磨いておく必要があるのだ。そして、その感覚がリアルであればあるほど、美味しいものやいいものができるということに違いない。
そうか、そうだったのか!
春物の帽子を創ろうと思ってもどうも気乗りがしないのは、今日が真冬のように寒い日だからだったとは!
身体感覚より脳内イメージのほうがリアルだと感じるのが都会人だと言う話を聞いた事があるが、すっかり田舎者になってしまったんだなぁ、私ったら。
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“身体感覚優先の賜物”へ2件のコメント
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ジャスミンティーにくこの実!
なんておしゃれ~!
黄金色に赤が眩しそう。
ひろりんさんの文章は読んでいてこっちがふ~ってふんわり暖かくなりますね~。
なんか、癒されるかも、、、。
何にもしてないのに、何かしなきゃ!!!って焦っちゃう事がよくある私としては、そっか~、そーだよね(何が?)ま、いっか~、、、。ってまねして
お茶でも飲もうかにゃ、、、って思えました。
クコの実いいですね~!
視覚、(胃袋?)から穏やかに癒されそう、、、、~!