父の大きな帽子
『私の父は頭が大きかったので…』
で始まる森茉莉のエッセイ「父の帽子」。
帽子屋に入るたび、「サイズの大きな帽子を」と言えず「もっと上等の分を見せてくれ」と言って帽子屋の店員を困らせた父。結局どの帽子も頭にはまらないことが多く、店員のせいだとばかりに毎回プンプンに怒っていたという父の記憶。
父とは文豪森鴎外の事である。
確かにお客さまの頭のサイズを見抜けず、お客さまの気持ちをくみ取れない店員では頼りない。
とは言え、頭のサイズは見た目の大きさと全然違うことがある。
髪に隠れた頭の形は縦長だったり横長だったりと一見しただけでは分からない。
体全体や肩幅とのバランス、さらに髪型や着ているものによっても頭が大きく見えたり小さく見えたりと、採寸せずにピタリとサイズを当てるのは難しい。
鴎外が気分を害す前に、帽子屋の店員がきちんとサイズを測って頭の形と好みを確認して差し上げればよかったのに…。
そんなことを思ったりもするが、ドイツ皇帝が浴衣を着たような鴎外の奇妙ないでたちと迫力に、店員も気後れしてしまったのかもしれないなぁ。
いずれにしても、帽子屋でプンプン怒っていた様子は、懐かしく愛すべき父の姿として娘のエッセイにもなったけれど、サイズが小さかったら「もう少し大きいものを…」って正直に言ったほうが、ストレス少なく自分にピッタリの帽子を見つけることができますよ。
鴎外さん(^o -)・・・☆
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